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(公社)精密工学会北陸信越支部 会員各位

 

2021年度 精密工学会北陸信越支部長 藤垣 元治(福井大学)

 

 この度,北陸信越支部の2021年度支部長を務めさせていただくことになりました.私が精密工学会に入会したのは二十数年前になります.当時は,和歌山大学におりまして,専門委員会主催のワークショップや関西支部の講演会等に参加する程度でしたが,徐々に精密工学会に深く関わるようになってきました.6年前になりますが,縁がありまして福井大学に着任することになり,北陸信越支部の活動に関わることになりました.ようやく福井にも慣れて根が張れてきたところです.

 それにしても北陸はよいですね.四季がはっきりしています.春には一斉に花が咲いて,夏はそこそこ暑く,秋は田んぼの稲穂と紅葉,冬は雪で白くなりおいしいカニの季節です.お酒もおいしいです.大雪の大変さも2回味わいました.冬に雷が鳴ると昔のアリスの歌を思い出します.温泉も好きなのですが,ちょっとドライブするとよいところがたくさんあります.緑から金色に変わる麦畑や,白く広がる蕎麦畑,水を張ってすぐの水田は空や山が水面にきれいに映りウユニ塩湖みたい,などなど,いくらでも書くことがあります.北陸信越地域はとても広くて,端から端まで600km以上あります.きっとそれぞれ特色のあるすばらしい景色や味や文化があるのだと思います.

 

 住み心地がよいだけでなく,北陸信越地域には多くのものづくり企業が集まっています.また,その多くは独自の技術を持ち,国内外に大きなシェアを持っておられます.また,新しい技術開発にも積極的に力をいれているという話をよく聞きます.また一方で,北陸信越地方の大学にもそれぞれの特色があり,研究内容も他ではやっていない独自のものが多くあります.そのような企業と大学や公的研究機関の連携は,技術の進歩にとってとても大事なことだと思っています.

 ところで,大学の研究成果というのは,教員の成果というよりも,研究室の学生の卒論や修論の研究成果であることがほとんどです.卒論や修論の質は,入試の成績とはほとんど関係なく,本人の「やる気」で決まります.就職した後の仕事の質も同じですね.企業の方はよくわかっておられると思います.大学教員が研究室ですべきことは,いかに学生に研究のおもしろさを知ってもらって,取り組むことの意義やその成果を待っている人がいることを認識してもらい,やる気を出すように仕向けるかということで,それが重要だと思っています.

 学会の講演会はそのための場でもあります.講演会で発表した大学生や大学院生は,質問をもらうことで,自分の研究内容に興味を持つ人がいる,ということを実感します.発表するために苦労して準備をしてきたことが報われたという気持ちにもなります.また,他の大学の同年代の学生の発表を見て,触発されてさらにやる気が出ることも多々あります.

 企業の皆様もぜひ講演会に参加していただき,学生の発表に質問をしていただきたいと思います.また,ぜひ,お知り合いの研究室と共同研究などの連携をご検討ください.その研究室の学生は,きっとよい研究成果を出せるようになります.なぜなら学生のうちから社会のニーズをよく理解するようになり,自分が頼りにされていることに喜びと責任感を感じるようになるからです.教員は共同研究の予算でその学生を学会に参加させることができるようになります.このように,学生がやる気を持ち,大学からよい研究成果が出て,その成果が産学官連携によって企業に役立つものになり,それが次の共同研究に繋がります.さらには,その経験を持つやる気を出した学生が卒業後に社会で活躍するというように,この循環からは,研究成果,優秀な人材,企業の利益や地域の活性化など,色々なものが湧き出てきます.

 企業の皆様にも,大学の皆様にも,ぜひこのようなこともお考えいただき,産学連携を積極的に進めることをご検討いただければと思います.産学連携は,目の前の製品開発を進めるという意味だけではなく,人材育成と地域の活性化にも役立つということを知っていただきたいと思います.それが本支部の活性化にも繋がります.北陸信越支部の各県で企画している特別講演会やミニ学会,ワークショップ,それから福井で11月に企画しております支部講演会は,それぞれの研究内容を知り,交流ができるチャンスでもあります.ぜひご参加ください.

 

 今回,支部長を拝命したことで,北陸信越地域全体で上述したような好循環が少しでも増えるように努力していきたいと思っております.皆様のご協力をぜひお願いいたします.最後になりましたが,皆様のご健勝を心よりお祈りしております.大雪もそのうち消えてなくなり春が来ます.新型コロナウイルスも今は大変なのですが,そのうち消えてなくなることでしょう.その時を見据えながら,今はうまく乗り切りましょう.